通信販売酒類小売免許を個人で申請する際のポイント

『日本酒や焼酎をネットで販売したいけど、免許は必要?』

『販売免許ってどうやって取得するの? 費用はいくらかかるの?』

インターネットを使ってお酒を継続的に販売する際には通信販売酒類小売業免許が必要で、これに違反した場合は酒税法で処罰を受けてしまいます。

ここでは行政書士に依頼せずに私が実際に自分自身で申請書類を作成し、添付書類を集めて、申請手続きを行い、通信販売の酒販免許を取得した経験を紹介します。

行政書士に頼まずに、ご自身でこれから申請手続きを考えている方は、是非、参考にしてください!

行政書士にお願いするか、ご自身で申請するか

免許申請に必要な書類を大きく分けると、

  1. “通信販売酒類小売業免許申請の手引き” に記載されている見本通りに作成すれば良い書類
  2. 販売するウェブサイトの画面や証明書などのすぐには作れない書類

の2つに分けられます。

2番目の「すぐには作れない」とは、ご自身にサイト構築の知識がなかったり、蔵元に発行してもらう証明書のツテが無かったりすると、時間と費用がかかってしまうからです。

もし、「お金を払って行政書士に依頼して全てやってもらう」とお考えの方は、どこまでを行政書士がやってくれるのかを前もって確認することおすすめします。

なぜなら、「サイト構築は別料金です」「協力のWEB業者を紹介します」や「証明書はご自身で準備してもらうことになります」と言った様に1番のサポートだけであれば、このサイトと手引きを読みながら書類を作成してみて、2、3回税務署で指導官に指導されれば済む話だからです。

一方で、行政書士にお願いすると、前もって取得見込みのアドバイスを受けられたり、開業後のアドバイスを受けられたりする場合もあるので、手間と費用とメリットを考えながら、どちらが良いかを選ばれると良いでしょう。

個人で申請するメリットは何と言っても費用が安く済む!

自分で手続きをするメリットは何と言っても費用が安く済む点です!

また、ご自身で手続きを行うと手間はかかりますが、逆に理解が深まるのも事実。

もし、開業までに時間があり、『費用をかけたくない』『手間を惜しまない』という方は、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

(繰り返しますが、時間と費用がかかるのは2番です。お金のない私は1番に費用をかけるのは得策でないと思って自分でチャレンジしました)

取得にかかった申請費用は36,200円!

個人で申請した場合でも必ず発生するのが下記の費用。

大きく分けると、
1)添付書類などを取得する際の印紙代
2)2017年6月から受講が義務付けされた講習の受講料
3)免許が付与される際に必要な登録免許税
の3つです。

私の場合、取得までにかかった費用は実費は36,200円+バス代で取得できましたが、行政書士にお願いして申請するとこれに報酬が15〜20万円ほど発生します。

また、後で出てきますが、申請書類に添付する通販サイトの画面が必要になります。

これは外注すると50〜200万くらいはかかると思います。

私は自作しましたが、どこに費用を掛けて、どこは自分でやってしまうのか。を決めておいた方が良いと思います。(『WooCommerceでECサイトを作る』

特に私のように脱サラで独立して間もない時はお金のかけ方が難しいですよね。時間はたっぷりあるけど(笑)

金額
登記事項証明書(建物) (法務局で取得) 600円
登記事項証明書(土地) (法務局で取得) 600円
納税証明書(市区町村) (区役所で取得) 300円
納税証明書(都道府県) (県税事務所で取得) 400円
住民票の写し (区役所で取得) 300円
印紙代合計 2,200円
酒類販売管理者講習受講料 4,000円
登録免許税 (免許が付与される時に税務署で支払い) 30,000円
総合計 36,200円
  • 注意
    私の場合、個人事業として自宅を販売場として取得しました。法人や販売場が貸借物件の場合は必要な書類も若干変わります。
    また、建物が3つの区画にまたがっており土地の登記事項証明書が3通必要だったので実際には1,200円多く掛かっています。
    酒類販売管理者講習は開催団体によって費用が数百円違います。(『酒類販売管理者講習について』はこちら

登記事項証明書は法務局で取得できます。あまり法務局などは日常で行く場所ではないので不安になるかもしれませんが、「お酒の免許を取るのに必要です!」と伝えれば「だったらこれですね」と親切に教えていただけました。

納税証明書は私の場合は県税事務所と区役所で取得できました。ここでも「お酒の免許を取るのに必要です!」と伝えれば親切に教えていただけました。

私は勘違いで建物だけの登記事項証明書と区だけの納税証明書しか準備しておらず、土地の登記と県の納税証明書を準備していませんでした。書類の提出段階で指摘され、二度手間になってしまいましたので、みなさんは気をつけてください。

取得までにかかった期間は3ヶ月弱

審査の標準処理期間は2ヶ月間となっています。

私の場合も2ヶ月間で免許が付与されました。
ですが、これは申請書類が受理されてからの期間。書類に記載内容が漏れていたり、添付書類に不備があるとそもそも受け取ってもらえません。

私の場合は、書き方が不明な点を税務署に(アポイントを取って)訪問して指導を受けながら申請書類の準備を進めたため、受理されるまでに2週間余計にかかってしまっています。

申請書が受理されてからダミーサイトの構成で2回ほどやりとりはありましたが、その期間は延長されることはなく、きっちり2ヶ月で合否を決めるという指導官の姿勢を感じました。さすがです。

個人事業としての申請でも大丈夫

よく『個人事業でも申請できるのか?』という事を聞きます。

結論から言うと、申請は大丈夫です。

必ずしも法人である必要はなく、私の場合は個人事業として申請しました。別に個人事業でも審査に不利になることはありませんでしが、事前に開業届を出しておく必要があります。(開業届を出す際に青色申告の申請書も出しておかれることをおすすめします)

あと、経営を維持するための審査基準があるのかもしれませんが、過去3年間の源泉徴収と貯金通帳のコピーの提出を求められました。少し、貯金はもっておいた方が良いですね(笑)

通信販売酒類小売業免許の申請書類を作成する

これを読まないと始まらない “免許申請の手引” をダウンロード

国税庁のホームページで免許申請の手引(PDF)と申請書類の様式例(Word)がダウンロードできます。
国税庁 免許申請の手引

ここに免許申請の流れ、酒類販売者としての留意すべき事項、申請書類の書き方、必要な添付書類などが丁寧に書かれています。

酒販免許の種類

酒類小売業免許には次の3つの種類がありますが、ネットでお酒を販売する場合は通信販売酒類小売業免許が必要です。

また、通信販売種類小売業免許では、取り扱えるお酒の種類が限られているので、注意してください。

一般酒類小売業免許 販売場において、消費者又は酒場・料理店等の酒類を取り扱う接客業者等に対し、原則としてすべての品目の酒類を小売することができる販売業免許
通信販売酒類小売業免許 通信販売(2都道府県以上の広範囲な地域の消費者を対象として、商品の内容、販売価格その他の条件をインターネット、カタログの送付等により提示し、郵便、電話その他の通信手段により売買契約の申込みを受けて当該提示した条件に従って行う販売をいいます)によって酒類を小売できる販売業免許
特殊酒類小売業免許 酒類消費者の特別の必要に応じるため、酒類を小売することが認められる小売業免許

私の場合、国内だけではなく海外へも通信販売によって日本酒の販売を計画していました。

いろいろな行政書士が書いているサイトをチェックすると、“それも通信販売酒類小売業免許です”書かれていましたが、実際に申請したところ管轄の税務署では、“海外にお酒をネット販売する際は一般酒類小売業免許が必要”との指導があり、結局、一般酒類小売業免許に通信販売の付帯条件をつけて申請を行いました。

見解としては、『海外への販売の場合、通販であろうが小売免許の範囲。通信販売の免許は国内のこと』との事。なんか、しっくりしない気がしたのですが、承認する管轄の指導官がそう言っているのだから、反対する理由はなく、すぐに変更しました。

もし、越境ECをお考えの場合はあらかじめ管轄の税務署に必ず確認して下さい。

申請書を作成する際の注意点

申請書類で、手引きを読んでも解りにくかった点や指導された点を紹介します。

おそらく、初めてのみなさんも同じ疑問を感じるはず!(笑)

酒類販売業免許申請

一番初めに書く書類です。

“免許申請の手引き”には親切な書き方の見本が付いているので、基本的には記載例の通り記入すれば大丈夫です。

“販売しようとする酒類の品目の範囲及び販売方法”の項目は【記載例】をそのまま記載すれば良いのですが、私の場合は清酒に限定したので見本の「輸入酒類に限る」という部分を変更しました。

基本的な全体の文章構成は書き換える必要はないみたいです。取り扱う品目が記載例と違う場合は酒類指導官のアドバイスを受ければ大丈夫です。

また、私の場合、ショップ名に英語が入っているのですが、頭文字を大文字にしなくても良いのか等の質問を受けました。

細かい部分ですが、登録と違うといけないので、みなさんも気をつけてください。

販売場の敷地の状況、建物等の配置図(次葉1、2)

様式例にしたがって、せっせと線を引いて地図と図面を描いて提出しましたが、上手く描けていなかったせいか、追加でマンション販売会社が出している間取り図を別途リクエストされました。

不動産屋さんから自宅を購入した際の間取り図が残っていたのでそれを提出しましたが、もし、お持ちの方はあらかじめ一緒に添付しておいても良いと思います。もし無くても管理事務所に言えばコピーさせてくれるはずです。

事業の概要(次葉3)

これも見本の通りです。
私の場合は敷地を部屋全体、店舗を事務所として使う部屋、冷蔵庫を置く部屋の計2部屋と定義して記載しました。その部屋をラインマーカーで囲っておくといいでしょう。

什器設備設はPC、プリンター、電話、机、椅子、冷蔵庫(日本酒専用)。

収支の見込み(次葉4)

収支見積もりは次葉5の算出根拠と合わせて辻褄が合うように書けば良いです。

“酒類の予定仕入先”の欄は私は蔵元を書きましたが、通常、個人事業で卸店と新たに口座を開いて取引をする事は難しいと思いますので、あらかじめルートの見当はつけておいた方が良いです。

また、私の場合は越境ECを予定していたので、品目を書き換えて、清酒(海外EC販売)で幾ら、清酒(国内EC販売)で幾らというように上下に分けて記載しました。金額はあくまで見込みです。

所要資金の額(次葉5)

ここは収支の見込み(次葉4)の金額と添付書類の残高証明書との金額がピッタリと合うように記載します。

私は数字を丸めて記載したため残高証明書との差が7千円発生したため書き直しの指導を受けました。こういった部分も審査期間が延びる原因になりかねないので気をつけてください。

また、ここで銀行などの残高証明が必要になってきます。私は通帳のコピーを提出しました。

取組計画書(次葉6)

酒類販売管理研修の受講予定等の欄は認可がされる時点で済ませておく必要があります。

私は申請が決まったと同時に申し込んで、書類を提出する前に受講しておきました。タイミングによっては満席で受けられない場合もあるとのことなのでご注意ください。
『酒類販売管理者講習について』はこちら

申請を進める前に気をつけておきたい3つの注意点

おそらく行政書士の方に申請手続きを依頼しても、この3点については自分自身で解決しなくてはいけない点です。

販売場の所在地がマンションの場合

手引の中には入っていませんが、自宅マンションで通信販売小売業免許を受けようとする際には、マンションの規約に違反していないかを確認される場合があります。

「専有部分は住居として使用すること」等が規約に入っている場合は、あらかじめ管理組合などの許可を貰っておくと手続きがスムーズになります。(この許可が出ないため、申請を諦める方もおられるとの事

私は理事会に申請して一筆書いてもらい、それを添付書類で提出しました。

通信販売の対象となる酒類である旨の証明書を発行してもらえる蔵元がいない場合

通信販売で取り扱えるお酒は、会計年度内で課税移出数量が3,000キロリットル未満の酒類という条件があり、これを証明する蔵元が発行する証明書が必要です。

既に蔵元とのコネクションがあり、証明書を作ってもらえる場合は良いのですが、そう出ない場合は先ずは信頼関係を作りから始める必要があります。

個人的にはこれが一番難しい(時間がかかる)気がします。
『通信販売の対象となる酒類である旨の証明書を蔵元に書いてもらうまで』はこちら

ご自身でダミーサイトの制作が出来ない場合

添付書類で『4 酒類の通信販売における表示を明示したカタログ等のレイアウト図、申込書、納品書(案)等を添付してください。』とあります。

“カタログのレイアウト図とは、サイトの全てのページをカラー印刷したものを指します。

申請段階では粗々でも良いのですが、審査が終盤になると当然細かな指導が入ります。例えば、修正した後に「もう少し注意表記を大きくして、見やすくしてもらえますか?」なんて指導は当たり前の様にあります。

これに対応するには2つの方法があります。

  1. WEB制作会社に依頼してECサイトを作ってしまう。
  2. 自身でECサイトを作ってしまう。

遅かれ早かれECサイトの構築はしなくてはならないので 1.をいきなりやってもいいのですが、その際の費用は50万から200万円必要になります。(構築する方法によって変わってきます)

また、「ここを修正」「あそこも修正」なんてことになると費用がかさむので、あらかじめ制作会社に事情を説明して費用に織り込んでおいたほうがいいかもしれません。その際に、この記事を共有するだけでも作業効率が良くなり余計な費用がでないと思います。ご活用ください。
『お酒のECサイトを立ち上げる際に注意べきポイント』はこちら

そもそも、どのレベルで必要か?と言う部分は確認していただきたいのですが、私の場合は 2. のWordPressでダミーサイトを作ってしまいました。決して難しくはなく、今後、ECサイトを運営していく過程で商品登録だなんだかんだを理解するのにはいいと思います。
『WooCommerceでECサイトを作る』

2. は費用がサーバー代とドメイン代以外(この2つは1. でも発生します)はかからないので、申請のダミーサイトは2. で進めて、本番用は制作会社にお願いする方法でも良いかもしれません。

自宅を販売所にしたことによる現場確認とインタビュー

これは必ず実施されるものかどうかはわかりませんが、私の場合、個人事業として自宅を販売場として申請したので審査終盤に実際に指導官の方が自宅まで来て申請図面を見ながらの現場確認がありました。

念のため申請場所(のお部屋)を片付けて「認可されれば、保管冷蔵庫を購入して、ここに置く予定」「ここに伝表などの書類を保管する予定」など答えられる様にしておきましょう。

また、簡単なインタビューがあります「なぜ取得しようと考えているか」などなど。どれくらい審査の判断に影響するかどうかはわかりませんが答えを準備しておくことを勧めします。「コンビニとかで販売した経験とか、何でもいいので酒類販売に携わったことは無いですか?」と聞かれました。この質問をどの様に解釈すれば良いか判りませんが。。ちなみに私は酒類販売経験は全く無いです。

 

酒販免許の交付

申請書類が受理されるとあとは待つだけ。
2ヶ月後に担当の指導官から連絡があり、登録免許税の支払いを終えると免許がおります。

酒類販売管理者講習

この免許は運転免許の様に更新する必要がないので、取り消しにならない様に大切にしましょう!

 

まとめ

  • お酒を販売するには酒販免許の取得が必要。
  • 行政書士に依頼すると10〜20万の報酬が発生するが、ご自身で手続きを進めると37,000円前後の実費で進められる。
  • 申請の手引の通り進めれば、申請書類の作成は難しくはない。
  • マンションでの申請や対象種類の証明書などの入手は時間がかかるため、早めに行う。