通信販売の対象となる酒類である旨の証明書を蔵元に書いていただくまで

通信販売酒類小売業免許を申請する際に必要な書類の中で、準備するのに時間が掛かる書類の1つが「通信販売の対象となる酒類である旨の証明書」です

上記の免許は「取り扱うお酒の課税移出数量が前会計年度で3,000キロリットル未満である」という制限が設けられており、ビールや大手メーカーが作るお酒は販売できません。つまり地酒を取り扱える免許で、この証明書を蔵元に作成してもらわなくてはいけません。

お願いできる蔵元がある場合やルートを既にお持ちの場合はいいのですが、そうでない場合は少し時間がかかってしまいます。

私が証明書を出していただいた過程を紹介しますので、参考にしてください。

自分が好きな銘柄の蔵元を尋ねて関係を構築する

自分の好きなお酒の蔵見学に行き、そのお酒がどの様な場所で、どの様にして作られているか、杜氏のお人柄や酒造りに対しての想いを理解を深めながら蔵元と関係を構築しておくことが重要です。

関係も構築できていないのに「書類を作成してください」ってお願いしても断られるのがオチです。

あと、時期的に仕込みの始まる10月から新酒が出始める3月頃までは避けたほうが無難です。

日本酒・酒蔵との出会い

もともと私の場合は、初めから酒販免許の取得を考えていたわけではありませんでした。

10月に東北を放浪していると飲食店を経営している友人から連絡があり「今どこ? 帰りに山形に寄ってXXって酒蔵があるから、数本買ってきて」と頼まれた事がきっかけでした。

訪問した時に偶然道を歩いていた杜氏の方に対応していただき、お話を伺いながら、数本購入して帰ったのです。

買ってきた純米大吟醸を友人のお店で飲ませてもらうと、今までの日本酒のイメージが180度変わりました。

兵庫県出身の私が昔飲んだことのある日本酒(男酒)とは全く別物の飲み物で、一気に興味が出たのが『Sake-Life.com』の始まり。

蔵見学で日本の文化を感じる

「どうやって作っているんだろう?」

すぐに蔵見学に行きたかったのですが、もうすぐ仕込みの始まる忙しい季節。電話をして3月に蔵見学を約束。

実際に、杜氏の方からお話を働いている現場で伺っていると、日本酒への想いやこだわりが十分すぎるほど伝わり、「酒造りって、なんて素敵な日本の文化何だ!」という想いが芽生えたのが『Sake-Life.com』の第二段階。

この日本酒を世界に発信したい!

そのためには酒販免許が必要なのか。。。色々調べていくうちに証明書が必要な事が判明。

蔵元にとって日本酒は製品ではなく、大切な子供

何もわからずに、ある酒蔵に「証明書を書いてください!」と訪問するが、当たり前のように玉砕。

今考えても恥ずかしい思い出。

気を取り直して、初めて行った山形の酒蔵さんと関係を構築することから始めました。それは蔵見学の時にお酒を子供のように大切にしている杜氏の姿勢を見たからです。

ご存知の通り、日本酒は杜氏が気温が寒い時期に朝早くから仕込み、多くの過程を経て、手間をかけて、ようやく日本酒になります。

蔵元が大切に育てた日本酒を出荷していただくのですから、通販で日本酒を取り扱う側も、そこを理解した上で蔵元にお願いする姿勢が大切だと思います。

私の場合は2年かけて関係構築

首都圏から山形までは気軽に行ける距離ではなかったのですが、その後、数回訪問を繰り返し、お話ができる関係ができた頃にようやく自分の中で「通販という手段でこの日本酒の文化を海外に伝えたい」という想いを伝えました。

そして、初めての訪問から2年経った2017年9月に証明書をお願いする運びになりました。これで『Sake-Life.com』免許取得ステージが大きく前進!

お願いに行く道中はかなり緊張していましたが思いを熱く語り、いざお願いすると

『そんなに儲からないよ〜』『まぁ、やってみるといいよ』

と笑って言いながら書いていただけたのを今でも覚えています。

みなさんも1つだけではなく、並行して複数の酒蔵さんと関係を構築した方が良いと思います。

証明書を出してもらうだけではない関係構築が必要な理由

私は先にもお伝えしていますが、別の畑から脱サラして、新規で酒販免許をとったいわゆる “実績のない新参者” です。

もし、みなさんが同じ境遇であれば、直面するかもしれない課題が「日本酒の仕入れ先」です。

私の場合、全国展開している酒類卸店と地域の古い酒類卸店にお取り引きをお願いしましたが、結果は「無視」される状態でした。

新規の口座を広げたくない彼らとしては無理もないと思うのですが、無視しなくてもねぇ。。って思ってます。

そんな時に手を差し伸べてくれたのは、証明書を出してくれた蔵元の社長でした。

『そんなに量も買えないだろうから混載でいいよ』とありがたいお言葉。。。(涙)

今でも最小ロットで出荷していただいています。

まとめ

  • 自分の好きな銘柄を1つ決める。
  • そこの蔵を訪問して、杜氏の酒造りのこだわりや想いを理解する。
  • 自分のやりたいことの目的をしっかり伝えてお願いする。